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arizona ハナシのダイジェスト

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役立ち情報満載の知恵袋コーナー。

校正のお話

とある校正者のつぶやき -vol.2-

ずいぶんと風が冷たくなって、鋭く肌にささるようになりましたね。

冬支度はおすみでしょうか?

わたしは衣服に関しては衣替えをしなくていいような収納をしているので、冬へ向けての準備と言えば、扇風機からヒーターに入れ替えるくらいです。

さて、今日は校正についてちょっとお話ししようと思います。

「校正」って聞いたことある方もない方もいらっしゃると思いますが、どんな仕事なのかさらっとご紹介しますね。

校正とは、あらゆる印刷物が原稿や指示書などのとおりに作られているかを確認する仕事です。もちろん印刷物に限らず、文字を扱うすべての媒体について本当は必要な工程です。

とはいえ、正直なところ、校正って軽視されがちな仕事でもあるような気がします。

そうなってしまうのには、作業のかんたんさが一つの要因になっているように思います。

「え?校正ってかんたんなの?」「え?じゃあ楽な仕事なんだ~」と思ったあなた。

そう、校正はむずかしい仕事ではありません。作業自体はね。

作業そのものは、原稿と制作物が同じかどうか確認するだけです。

赤ペンが1本あれば、仕事ができてしまいます。

だがしかし、です。作業がシンプルだからといって、イコール簡単な仕事というのは短絡的にすぎます。

そもそも「校正」とは、「校(くら)べて正す」という意味です。

原稿とできあがりを比べて、相違点を訂正していく。指示書と制作物を比べて、そのとおりにできているかどうか確認する。

比較対象があるので、一見かんたんに思える作業です。

ですが、この単純な作業にもいろんな角度から見たむずかしさや大変さがあるんですよ。

原稿と見比べる時には、本来ならば、1文字ずつ見ていくのが基本です。

1文字ずつです。

わたしは原稿を左側に置いて(左利きの方は逆になるのかな)、右側に校正紙と呼ばれるチェック用のプリントアウトを置きます。まずは左に置いた原稿の一文字目を見る。その文字がちゃんと入力されているか右側の校正紙を見て確認する。・・・・・・以下、ひたすらこの動きの繰り返し。

どうですか?

けっこう首や頭が痛くなるんですよ、これ。

「首振り」の洗礼と呼ばれることもあります。

大抵の人はこれにまずやられてしまいます。仕事以前の問題ですね。けっこうクラクラするので、慣れるまではつらいかも知れません。

そして1文字ずつ見ているはずなのに、見間違ってしまうというあってはならないミス。

人って、見ているようで見ていないんです。「見る」ということそれ自体が、実はむずかしいことなんですね。

たとえば、わたしが駆け出しの頃に実際にやらかしたミスですが、「高校生」となるのが正しいところを、「高校性」のまま見逃してしまったことがありました。

気づいてしまえば、見逃すなんてありえないレベルの誤植です。

でも、もしかしたらあなたにも経験があるかも知れません。

たとえばあなたのお名前が「佐村」さんだったとして。どこかで名前を呼ばれるような場面、たとえば病院の待合室で、ファミレスの順番待ちで、「佐藤さん」と間違われてしまうような・・・。

そんな経験って直接ではなくても、どなたにも思い当たることがあるのではないでしょうか?

人って意外と、見ているようできちんと見ていないんですよね。「佐〇」というお名前を目にした時、ついつい日本で最も多いと言われる「佐藤」に変換して脳に届けてしまう。

自分にとってなじみのある言葉や文字に勝手に置き換えて見てしまう。

校正のむずかしさはまさにそこにあります。

きちんと「見て」確認する。これが基本でありすべてです。

それなのに、けっこうなおざりになってしまう。

まずはそこから、しっかり積み上げていかなくちゃいけないんですね。

何といってもそこが一番大事。

さすがに今のわたしは1文字ずつ追うことはしませんが、基本の「キ」は忘れたくないです。

なんだか長くなってしまったので、今日はこのあたりで。

続きはまた、次回に語りますね。

書いた人

校正者 アイ

小さい時から本を読むことや文章を書くことが好き。
校正歴は20数年。
まんがやゲームもそこそこに嗜むが、かなり偏食。
カラーセラピーやヨガの資格も持ってます。