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arizona ハナシのダイジェスト

プロ・マニアによる
役立ち情報満載の知恵袋コーナー。

猫のお話

記憶の始まりってどこからなんだろう【後編】

 

と、次の瞬間!

僕はいきなり布ごとママに抱き抱えられたかと思うと

そのデカいの声男に手渡された。

「え、何!?」

そのデカい声の男は、用意周到に檻のようなものを持ってきてて

僕を布ごとその檻に押し入れた。

「え!なんだ?ママ、助けて!ヒロ!助けて!」

僕は力の限り叫んだつもりだったけど、何せまだ体が疲れてる。

なによりこんなチビの僕がこんな大男にかなうはずがない。

「ママ!捨てないでよ!助けてよ!!」

僕は強引にその檻に閉じ込められ、さらにその上から袋のようなもので覆われて

ママの手元から離された。

僕は〝安住の地〟と思っていた家から再び連れ出されて

暗い闇の中に吸い込まれ、声のデカい男に連れられてトラックのようなものに乗せられた。

真っ暗な中で大きなエンジン音だけが聞こえる。

どこに連れていかれるのだろう。

僕は体の疲れを忘れるくらい恐怖心で心を支配された。

これからいったいどうなってしまうんだろう。

 

1時間は揺られただろうか。

なんかいい匂いがする。

檻の隅っこにママのクリームご飯があった。

ママ・・・

僕は貪るようにそのクリームご飯を腹に入れた。

 

檻に入れられている以上、もう逃げ出すことはできない。

僕はこのままどこかに葬られるのだろうか。

生まれてきたばかりなのに まだ死にたくないよ。

 

ガタンガタン!

強い衝撃と共に、車はどこかに到着したようだ。

ついに僕もおしまいかな。泣きそうになる。

僕は檻ごと、多分あの大男にどこかに運ばれているのがわかる。

ガヤガヤガヤ、周りに大勢の人がいるようだった。

僕はどこに・・ 僕はどこに・・・・。

 

やがて人の声もなくなり、さらにどこかに置かれたような

そこがいったいどこなのか・・・

そしてやがて、さっきのエンジン音の100倍はするかのような大きな爆音が

外から聞こえてきた!同時に檻が小刻みに揺れる!

あ〜、もうおしまいだ!ママ、ヒロ、神様!!さよなら!!

ドドドッという爆音がからがに伝わってくる。

もう何もかもおしまい。

やがて爆音は少しおさまり、その代わりに宙を浮くような変な感覚に襲われた。

これがまさしく天国に行くということなのか。

ぼくはそのまま意識が遠のいていった。

 

みんな、みんな、さようなら。

 

気がついたら僕はまだ檻の中にいた。

どうやらまだ死んではいないようだ。

一体どこに連れていかれてるんだろうか。

さっきのどでかいエンジン音はなくなっていたけど

車のエンジン音らしき音とその振動は体に伝わってくる。

僕は少しヤケになっていた。

煮て食うなり焼いて食うなり、好きにしたらいい。

僕はもう疲れたんだ。

 

 

そして再び車がキュッと止まったようで、

僕は檻ごと連れ出されたようだった。

ようだったというのは、まだあの黒い布が檻を覆ってるから。

あの大男かな。

僕は誰かにまた運ばれてどこかに連れていかれているらしい。

カツッ カツッ カツッ

階段を上がるような足音が聞こえたと思ったら、

僕を抱えた男は立ち止まり、「ピンポ〜ン」というチャイム音が聞こえた。

ママの家だ!ママの家に帰れたんだ!

疲れ果てた体の奥で、僕は朦朧とした脳でそう感じとった。

 

ガチャガチャ!

扉が開けられる音がして、次に僕の檻を覆ってる黒い布が取られた。

 

ママ・・・!・・・

 

ママじゃない。

檻の向こうには、見たこともないメガネをかけたオッサンがこちらをのぞいていた。

疲れた僕は檻の奥に身を委ねていたのだが、

大きな男の手で布ごと持ち上げられ、僕はその男の手に手渡された。

男は僕の顔を見ながら、「ミー、ミー。」って話しかけてきた。

ママとヒロが言ってたみたいに。

 

2012年6月

東京に住むヒロに僕は拾われた。

しかし家では飼えないし、里親を探すという。

このオッサンは偶然にも

ペットOKのマンションに一人で住んでいた。

全てはここから始まった。

 

「ニャンズNo.5」第1回 へ続く→ https://youtu.be/jfi7Ew1Bgmw

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